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PC上で音楽制作を完結させる方法であるDTM (デスクトップミュージック) 。昨今の音楽制作のスタイルとして大きなシェアを誇っていますが、これにはどんな歴史が潜んでいるのでしょうか。その成り立ちを紐解くために、「シンセサイザー」と「レコ―ディング」の歴史をみてみましょう。

音楽制作を志す方であれば、まずここの歴史を理解することが重要です。今触っているソフトをより理解することにもつながり、さらに今後どのように進化していくか予測することで、音楽業界についていくことができるようになります。

また、制作をされない方でも、「こんな機械があったんだ!」と発見があって面白いと思います♪興味がある項目だけでも、よければぜひ、ちょっと見ていってください!

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自動演奏からシンセサイザーまでの歴史

シンセサイザーとは、コンピュータに信号を送ることで、スピーカーから音を出すシステムのことを指します。この歴史を紐解くために、まずは「自動演奏の歴史」と、1950年代から始まった「自動作曲の研究」、そして「シンセサイザーの歴史」を見てみましょう。

1500年第に登場した自動演奏「カリヨン」

歴史的に詳しくわかっている楽器で、最も古い自動演奏装置は「カリヨン( carillon )」と呼ばれるものです。教会の鐘として設置されていたこの楽器はもともと人の手で演奏されていました。それが14世紀に自動演奏化が施されたタイプが発明されました。

時を告げるために、この音を利用したといわれています。

ちなみにこの「カリヨン」、国立音楽大学にも設置されていて、公演の前には自動演奏をされます。

※国立音楽大学「カリヨン」
Westerkerk Amsterdam (アムステルダム西教会・オランダ)
※動画は手動での演奏です。

1800年代に発明されたオルゴール

なんの変哲もないオルゴール。でもこれ、列記とした「自動演奏装置」なんです。

オルゴールは1796年にスイスで開発されました。今のように、レコードなどの気軽な音楽プレイヤーなどが無い時代、手軽に音楽を楽しめるアイテムとして、重宝されたといいます。

オルゴールと言っても、とても大きな装置のものがあって、ディスクを交換することで、様々な楽曲を楽しむことができました。

コイン式の大型オルゴール
製造:1900年頃
名称: Polyphon Music Box
開発: Polyphon Musikwerke A.G.

1900年代に流行したピアノロール

ピアノロールというと、DTMをしたことがある方は聞きなじみがあるかと思います。
DTMでプログラムを書く際は、この「ピアノロール」という画面でMIDI情報を主に打ち込んでいくのですが、実はこの時代からあった規格を参考に作られているのです。

WELTE-MIGNONというメーカーなどが有名なこのピアノロール(Piano rolls)という装置は、ピアノやオルガンなどで演奏者の演奏をロール紙に、穴で記録して再現するものです。

穴の大きさが、音の強さ。穴の長さが音の長さ。といった具合です。

じつはこれ、「オルゴールのディスク」にも使われていた技術で、その発展形とも言えます。

1950年代には自動作曲が登場!

「イリアック組曲(ILLIAC Suite)」という曲が、1957年に発表されました。これは当時の計算機「ILLIACⅠ(イリアリック・ワン)」で自動で作曲させ、音楽を作ろうという試みから誕生した楽曲です。このシステムは、Lejaren Hiller氏とLeonard Isaacson氏によって作られました。

この楽曲は、「楽曲の様式」を模倣しながらも、「決して同じ音楽にはならない」というものを目指してシステムが考案されました。これを機に、「自動作曲」に関して様々な研究が行われ、この後の音楽業界に大きな影響を与えました。

このころの自動作曲は、作曲をするまでで、演奏は人に任されました。
「Illiac Suite」は、弦楽四重奏の為の楽曲です。

少し前にも「AIブーム」が起きて、「コンピュータが作曲する!」と話題になりましたが、実はこの時代から誕生していました。少し驚きですね。

「イリアック組曲(ILLIAC Suite)」

1960年以降は「シーケンサー・シンセサイザー」の時代

シーケンサーとは、演奏データの「記録」と「再生」ができるデジタル装置のことを指します。
また、シンセサイザーとは、デジタルで音を作り、再生することができる装置のことを指します。

こちらは、1960年代に考案され、、アメリカの「Robert Moog」が発表したものです。

Moog System 55 Modular Synth
演奏:Daniel Fisher
製造: Moog (1973年)

1980年代にMIDIが誕生!

MIDI(Musical Instrument Digital Interface )とは、電子楽器の演奏データの転送企画の名称です。

これが誕生するまでは、シンセサイザーの音を鳴らすためのデータの規格が統一されていませんでしたが、多くの楽器製造会社があつまり、議論を重ね、一つの規格に統一されました。

このMIDIという規格、実は現代でもほとんど変更が施されること無く利用され続けている、大変完成度の高い規格です。これが誕生することで、電子楽器間のデータ転送の効率が飛躍的にあがり、シンセサイザーの進化に大きな影響を与えます!

現在でも、DTMで楽曲を制作する際は、「ピアノロールエディタ―」で「MIDIデータ」を編集する作業が取り入れられています。

1990年~2020年の進化

シンセサイザーは、大きな「ハードタイプ」から、コンピュータの中にインストールする「ソフトウェアタイプ」へ移行が急速に進んでいます。

そのことにより 「シンセサイザー」 は、大きくて高価だったものが、より安価で手軽に利用できるようになってきました。

また、個人用コンピュータの性能も向上することで、より高品質な音をシュミレートする「ソフトシンセサイザー」が一気に進化して行っています。

EAST WEST Hollywood Orchestra( ソフトシンセサイザー )

※すべて打ち込みの音楽です。
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2020年以降の進化予測

iPadなどのタブレット端末が高性能化していることによって、タブレットで手軽に作曲ができるソフトウェアが急速に増えてきています。

2020年中に発表されるiPadは、その性能が2018年のMacBookに追いつくと言われており、早いうちにPCで制作されていた音楽現場が、より簡単で手軽なiPadでの制作に取って代わることでしょう。

レコーディングの歴史

DTMソフトは、シンセサイザーのプログラミングの他に、音を録音したり編集したりすることも役割の一つです。簡単に以下で歴史を紐解きましょう!

1870年代に蓄音機が発明された!

蓄音機の生みの親は、皆さんご存じ「トーマス・エジソン(Thomas Alva Edison)」。

そして、その蓄音機をライバルとして品質を向上させたのが、「 アレグザンダー・グラハム・ベル ( Alexander Graham Bell )」でした。

これまで、「ピアノロール」で音を再現するまでにとどまっていましたが、ここで「音の波形を」記録する方法を見つけることに成功します。

1980年代まではテープで録音!

音楽を録音する際、初めのころは全ての楽器をいっぺんに録音する一発どりが主流でした。
また、その後「マルチレコーダートラック」というものが開発され、音の上に音を重ねることが可能になりました。

古い音楽を聴いてみると、うっすらと何か違う音が聞こえてきたり、テンポがいきなり変わったりする箇所を感じることができます。
にしても、今の時代と比べたらできることがとても限られている中、本当に素晴らしい作品を残していると感じます。脱帽です。

ちょっと面白い豆知識

「シェルブールの雨傘」
 シーンの移り変わりで、音がバツンと切れるシーンがいくつか聞き取れます。一番感じることができるのは、”結婚式のシーン”で、オルガンの音に切り替わる際、現代では唐突に感じるような移り変わりがあります。

予告編の音の編集方法でも、音楽の切り方が突然な感じがわかるかと思います。

「メリーポピンズ」
 CDなどでカラオケも公開されているのですが、後ろにうっすらと”メアリー”の声が聞こえてきます。同じタイミングで、別の部屋などで歌をレコーディングしながら、オーケストラも演奏していたためです。

「スプラッシュマウンテン」
アトラクションに乗っている際のBGMの編集方法ですが、1ループが終わった後、音が若干テンポ感を無視してループする場面があります。

アナログからデジタル録音へ!

テープで録音や編集をしていた時代から、現在は音のデジタル化が一気に進み、PCの中に直接音源をデジタルデータとして取り込むようになりました。
これが、今のDTMの音の編集方法です。

2010年以降さらに手軽で高音質に

現在、スマホなどでハイレゾ音源を簡単に録音することができるようになった。
別売のマイクをつければ、一般向けの再生機器ではあまりさを感じられないほど高音質に録音することができるようになっています。

例えばこのマイク。iPhoneにさしてあとはビデオカメラやボイスメモなどをたちあげるだけで、本当に高音質な音を録音できるようになります。

あえていうなら、録音の際に「防音室」に入らないということ。このことが唯一、レコーディングスタジオと一般の録音とのさになっています。

DTMはシンセサイザーとレコーディングの進化の産物

DTM機材とPCの進化によって、音楽を作ることが本当に手軽に、高品質になってきました。
さらに、その勢いはとどまることを知りません。

レコーディングスタジオが必ず必要だったと思われていたことが、現在ではPC一つで音楽を高品質に作ることができるようになって、更に未来では、iPadなどのタブレット端末で、いつでもどこでも、更に手軽に制作をすることができるようになります。

プロとアマチュアで、利用できる機材の差がどんどんなくなってきていて、今の音楽業界には革命が起きているとも言えます。

この時代に、あなたはどんなスタイルで音楽の仕事をしますか?

誰でも手軽にスタートできるようになった音楽制作。あなたもまずは、お手元のスマーフォンで作曲を始めてみてはいかがでしょうか?

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