さて、前回までは30種類ある「キー」と、それに付随する「スケール」について、耳コピするのに必要な知識としてお話をしてきましたね。
今回は少し番外編になります。
今回は、異名同調(エンハーモニックキー)について、お話ししていきます。
- 異名同調(エンハーモニックキー)についてを解説します
- 実際に異名同調(エンハーモニックキー)の曲を耳コピする場合の対処法についてもご紹介していきます
それでは、Let’s Start!
もくじ
異名同調(エンハーモニックキー)とは
ここまで、全てのキーとスケールを見てきたわけですが、F♯メジャーとG♭メジャー、C♯メジャーとD♭メジャーなどのように、鳴らしてみると同じ音でも記譜上は違う音…というものが出てきますよね。これを異名同音(エンハーモニック)といい、異名同音同士のキーを異名同調(エンハーモニックキー)などと呼んだりします。
以下に、そのエンハーモニックキーを一覧で載せますので、見てみてください。
- BメジャーとC♭メジャー
- F♯メジャーとG♭メジャー
- C♯メジャーとD♭メジャー
- G♯マイナーとA♭マイナー
- D♯マイナーとE♭マイナー
- A♯マイナーとB♭マイナー
楽譜に書くときにはどちらで書いても間違いではないですし、実際に存在するキーやスケールではあるのですが、なぜこのようなことが起こるのか不思議に思われた方もいるのではないでしょうか?
色々と考えられる理由はあると思うのですが、わたしが考える理由はこちらです。
エンハーモニックキーが存在する理由①楽器奏者の都合によるもの
まず1つ目は、楽器奏者の都合によって起こるものだからです。
わたしのようなピアニストたちにとっては、F♯メジャーで書かれた曲の楽譜を見て演奏するよりも、同じメロディーをG♭メジャーに置き換えて書かれた楽譜を見て演奏する方が、演奏しやすいという感覚があるのです(ピアニスト全員がそうとは限りませんけどね…笑)。
つまり、♭がたくさん出てくる音の方が、ピアニストにとっては読譜するのに都合が良い、ということになります。
このエンハーモニックをうまく活用すると、例えば、♯がたくさんついたピアノの楽譜を読む時に、脳内で異名同音として読み替えたり、場合によっては、楽譜を作り直したりして解決することができるというわけです。
エンハーモニックキーが存在する理由②作曲者のイメージする音楽のニュアンスの違いによるもの
以前、キーとは「色」のようなものだというお話をしましたよね。
それに関係するものなのですが、作曲家やアレンジャーたちは、その曲のイメージに合った「色」を決めて、曲を作ったりアレンジしたりすることがあります。
メジャーキーとマイナーキー合わせて30種類あるので、色のパターンは「30色」。たとえエンハーモニックキーであっても、「別の色」として感じることができるのです。
♯系は明るく、♭系は落ち着きがあるイメージ?!
では、具体的にどのようなイメージがあるのでしょうか?
これは個人差があると思うので、今からお話しするのはあくまでわたし自身の見解になります。
♯系のキーは、♯がつくほど「より明るく、輝きが増し、暖かくなる」ようなイメージがあります。もちろん、曲のテンポや雰囲気にもよると思いますが、色々な曲を聴いていて「なんかこの曲はすごく明るい感じがするなぁ」と感じるものはほとんど♯系のキーだったりします。
一方で、♭系のキーは、♭がつくほど「より落ち着きがあり、メジャー・マイナー問わず少し暗くなる」イメージがあります。これも曲の雰囲気などによりますが、「薄暗くなった時間帯から夜に聴く時にぴったりだなぁ」と感じられるものが多い気がします。
耳コピしようと思った曲がエンハーモニックキーだった場合、どうする?
では、実際に耳コピしようと思った曲がたまたま異名同調(エンハーモニックキー)であった場合はどうすれば良いのでしょうか?
答えは簡単です。
それぞれの楽器、それぞれのプレイヤーによって再現しやすい方のキーで構わないのです。
例え、聞こえた感じが「G♭メジャー」もしくは「F♯メジャー」だったとしても、「わたしはピアノで耳コピするからG♭メジャーで耳コピしよう」などと決め付ける必要はありません。(笑)
実際、わたしがこのような曲を耳コピで再現する際には、「G♭メジャー」よりも「F♯メジャー」で聞こえ、そこから「F♯メジャー」で耳コピをしていくことも少なくないからです。
最後に
いかがでしたか?
異名同調は、普段耳コピしている中でもなかなか気づかないし、強く感じることはないだろうなと、この記事を書いていて思いました。感覚的なことが関係していますので、文字で伝えるのはなかなか難しかったですが、少しでも参考にしていただければ幸いです。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう♪
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