わたしは、趣味は耳コピ・特技も耳コピという、自称「耳コピバカ」のピアニスト、正村恵と申します。
わたしは幼少の頃から歌やピアノに親しみ、耳コピもこの頃から始めていました。
とりわけ好きな曲を耳コピで演奏すると、周りが驚き、喜んでくれることがとても嬉しく、一種の遊びのような感覚で現在も続けています。
ここで少し、わたし自身についての紹介をさせてください。
国立音楽大学大学院を首席にて修了
大手テーマパークホテルをはじめとするブライダルプレイヤーを務める
専門学校講師として音楽の基礎やソルフェージュの教鞭を執る
ソロをはじめ、声楽や器楽の伴奏も務める
YouTubeチャンネル【YUMENOMusiquue】にて耳コピ演奏を担当
etc…
今まで培ってきたピアノの演奏スキルを活かした耳コピ演奏で、聴いてくださる皆さんに元気を与えられたら…そんな想いを抱きながら、様々な場所で活動をしております。
そんなわたしが、このページをお訪ねくださった皆さんに向けて、「耳コピができるようになるためのコツ」を1から伝授いたします!
「耳コピってなに?」という導入に始まり、実際に必要な知識を併せて勉強しながら、耳コピのスキルアップを目指します。
- 耳コピのノウハウを1から伝授
- 必要な知識やスキルは最低限に絞り解説
- 筆者が耳コピするのにおすすめの曲を紹介していきます
また、より詳しく知りたい方のために、併せて読める記事も今後掲載していく予定です。ご興味ある方は是非覗いてみてくださいね♪
この記事を読み終わる頃に、あなたの耳コピのスキルが少しでも上がっていることを願っています。
それでは、レッツスタート!
もくじ
はじめに
耳コピって何?
「耳コピ」とは、その名の通り「耳」で「コピーすること」です。
聴いた音を、耳の記憶を頼りにしながらピアノやギターなどの楽器を使って再現することを「耳コピ」と呼びます。特殊能力のように思われる「耳コピ」ですが、鍛えることによって「誰でもできる能力」になるのです。
こちらは、わたし自身がピアノで耳コピをした動画です。ご覧下さい♪
いかがでしょうか?耳コピを究めていくと、ここまでできるようになります。
詳しくは下記の記事にも掲載していますので、是非読んでみてください。
耳コピに必要な知識やスキルはあるの?
あります。
それは、大きく分けて以下の3つに分けられます。
- 音感
- 音楽理論
- コード(和音)の知識
「音感」は、耳で聴いたときに「ドレミ…」のどの音が鳴っているのかがわかる感覚のことで、鍛えることによって身につきます。
「音楽理論」は、「ドレミ…」などのこと、リズム、拍子など、楽譜を読むために欠かせない知識のことです。ここでは耳コピに必要な最低限の知識のみを解説していきます。
そして「コードの知識」は、音楽を奏でる上で大切な要素である「ハーモニー」を作る「コード(和音)」のこと、コード同士のつながり(「コード進行」と呼びます)についての知識のことです。ピアノで耳コピする上で最も難しいスキルといえます。でも、コツをおさえていけば段々とできるようになりますので、頑張りましょう。
耳コピに欠かせない3要素についての記事はこちらです。興味がある方は是非ご覧くださいね。
音楽の基礎知識を学ぼう!
先述の通り、耳コピをするのには「音楽理論」が大切な要素の1つになります。
そこで今記事では、耳コピに必要な最低限の知識をまとめ、以下の順番で学んでいきます。
- スケール(音階)について知る
- ドレミの響きを覚える
- リズム感を養う
- 拍子感を養う
- コードやコード進行について知る
以上の5つを学びながら、耳コピを実践できるようにいたします。頑張りましょう。
それでは早速、始めましょう!
耳コピのコツ①:音階とその響きを知ろう
コツ基本編その1:スケール(音階)
音階とは、その名の通り「音」の「階段」のことです。ある音から始めて、一定の規則に従って階段のように並べられた7つの音のことで、始めた音の1オクターブ高い音までで1つの並びが完成します。
一般的には「スケール」と呼ばれますので、ここからはスケールという言葉で解説していきますね。
スケールは、大きく分けるとメジャースケール(長音階)とマイナースケール(短音階)の2つになります。本記事では、メジャースケールのみに絞ってみていきましょう。
コツ基本編その2:メジャースケールとは
メジャースケールは、聞いた感覚は違えど、全て「ドレミファソラシド」に聞こえるスケールのことです。
よく耳にする「ドレミファソラシド」は、メジャースケールの1つなのです。
なぜ、「メジャースケールの1つ」という言い方をしたかというと…実は音楽の世界には、色々な「ドレミファソラシド」があります。その「色々な」ものの正体が、「キー(調性)」と呼ばれるものになります。
そこで、キーというものについても触れておきましょう。
コツ基本編その3:キー(調性)について
キーとは「色」のようなもの
キーとは、簡単に言うと、「色」のようなものです。
同じ洋服でも色が違えば雰囲気が異なるように、同じ「ドレミファソラシド」でも色(キー)が違うと雰囲気が違って聞こえるのです。
スケールと同じく、キーにもメジャーとマイナーの2種類があるのですが、本記事ではメジャースケールについてを見ていますので、メジャーキーに限定して解説していきますね。
メジャーキーについて
メジャーキーは、シャープ系とフラット系あわせて15種類あります。なぜシャープ系とフラット系というかですが、これは、開始する音に関係しています。
下の楽譜をご覧ください。
これは、先ほど散々覚えた「ドレミファソラシド」の楽譜で、メジャースケールの1つになるわけですが、多数あるメジャースケールを区別するために、始まりの音「ド(C)」をとって、「Cメジャー」と呼びます。♯も♭もつかないスケールですが、これも立派なメジャーキーですので、上記の15種類に含まれます。
したがって、始まる音が「D」なら「Dメジャー」、「B♭」なら「B♭メジャー」というように、各メジャースケールのあたまに音名をつけて呼びます。
この「始まる音」が、メジャーキーだけで15種類あるというわけです。
メジャースケールのしくみ
メジャースケールの並びは、隣りあう音同士の幅(音程)が全音か半音かを、ある規則に従って並べたものなのです。それが、どの音から始めて同じように並べても、雰囲気は違えど「ドレミファソラシド」になる所以なのです。
では、具体的にどのような規則で並べられたのかというと、以下のようになります。
初めの音から順に、「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」という並びになります。
いかがですか?少し複雑になりますよね。
この「全全半全全全半」という並び方を覚えることももちろん大事なことですが、本記事では実際にキーボードで鳴らしながら覚えていきますので、ここでは「ふ〜ん、そうなんだぁ〜」ぐらいに思っていただいて大丈夫ですよ(笑)
それでは試しに、これを「レ(D)」の音から始めて、Dメジャースケールを作ってみましょう。下の楽譜を見てください。
上の楽譜のまま、試しに弾いてみてください。なんだか、ヘンテコな感じがしませんか?「ドレミファソラシド」に聞こえてきませんよね?
これは、「全全半全全全半」の並びになっていないためなのです。
そこで、正しく「全全半全全全半」の並びにするために、隣りあう音同士を調整します。
その時、♯をつけなければならない音が出てきますね。♯をつけて直すと、以下の楽譜のようになります。
これも実際に、キーボードで弾いて確かめてみましょう。
どうでしょうか?今度はちゃんと、メジャースケールの正しい響き「ドレミファソラシド」に聞こえますよね!これでめでたく、「Dメジャー」のスケールの完成です。
キーとスケール
このように、それぞれの音から始めた時に、きちんと「全全半全全全半」の並びになるように♯や♭をつけて調整することが必要になります。開始する音によって♯か♭のどちらかがつくようになっています。
それぞれのスケールを1つのグループでまとめたものが、「キー」なのです。
ここまで色々と書いてしまいましたが、まとめると以下のようになります。
キー…7つの規則正しい音を1つにまとめたグループで、
「色」のようなもの。メジャーだけで15種類(Cメジャーを含む)
スケール…各キーを構成する7つの音の並び。
メジャースケールは、隣り合う音同士の音程の並びが
「全全半全全全半」になる
コツ応用編:メジャースケールの響きを覚えよう
それではここで、本記事の後半で使用する楽曲で使われているメジャーキーを含むスケールを下に載せます。
実際にキーボードで鳴らしながら響きを覚えましょう!
もちろん、これですべてのメジャーキーを載せているわけではありませんので、くわしくは別記事にまとめていきます。更新をお待ちくださいね。
耳コピのコツ②:ドレミの響きを覚えよう
スケールが理解できたら、実際に「ドレミ」の響きを覚えましょう!
コツ基本編
ここでは、Cメジャースケールである「ドレミファソラシド」の響きを見ていきます。下記に、Cメジャースケールの楽譜を載せます。それを見ながら、キーボードなどで下のドの音から上のドの音までを鳴らし、1つ1つ確認しながら響きを覚えていきましょう。
いかがでしょうか?まずはこの「ドレミ」の響きを嫌と言うほど耳に覚え込ませていきましょう。慣れてきたら、上の楽譜よりも下の方の音(低音部)や、上の方の音(高音部)の「ドレミファソラシド」の響きについても、同じように覚えていきましょう。理想は、ピアノで弾ける音域、つまり88鍵盤すべての音の響きを耳でマスターできるようになることです!では早速、身近に聞こえるメロディーの1つを紹介します。ご存知、LINEの無料通話の発信音です。
LINEの無料電話の発信音
この発信音は、完全に1つの簡単なメロディーと音だけで出来ているので、耳コピを始めるのにはちょうど良いものではないでしょうか。とはいえ、聴き取るのが難しいと思う人も中にはいると思います。最初のうちは、口ずさむだけでも良いでしょう。そしてキーボードやピアノに向かい、実際に弾いてみて正しく音が聴き取れるかやってみましょう。
それができたら、答え合わせをする感覚で、上の動画の音と一緒に耳コピした音を鳴らしてみましょう。間違えても心配ありません。自分の持っている音感と実際に鳴らしたときの音程のズレは、最初のうちは起こるものです。怖がらずに何度も挑戦しましょう!
参考までに、わたし自身が耳コピした音源を下記に載せておきます。
コツ応用編
今度は、「シャープ」「フラット」がついた音の響きを見ていきましょう。下に楽譜を載せておきますので、上と同じようにキーボードを使って音を順番に鳴らしてみてください。
いかがですか?実際に鳴らしてみると、「ド」と「ド♯」、「レ」と「レ♯」などのように、半音で音の響きが変わっているのがわかります。この音の違いを聞き取れるように、同じように耳に覚え込ませていきましょう。
では、実際によく聞くメロディーの音源を載せておきますので、聴き取ってみてください。
電車の発車メロディー「Water Crown」
今度は、少し長めのメロディーになります。
いかがでしょうか?このメロディーは最後の音に「ド♯」が登場しています。先ほどのLINE発信音の時と同じやり方で、聴き取ってみましょう。
他にも、日常生活で耳にするさまざまな「メロディー」がありますので、よかったら探してみてくださいね。
他にも、以下の記事でも紹介しております!よろしければご覧ください♪
耳コピのコツ③:リズム感を養おう
メロディーの響きがわかるようになるのと同時にやっておきたいのが、リズム感を養うことです。
コツ基本編:リズムを叩こう
リズム感を養うのに最適な方法は、ズバリ「リズム打ち」になります!
ここでは、4分音符1拍分をさまざまなリズムのパターンで示しています。多くの楽曲で使われているリズムパターンなので、実際に叩きながら身体に染み込ませてみましょう。
リズムを叩くやり方は色々ありますが、わたしがおすすめしたいやり方は以下になります。
①最初はテンポ♩=60ぐらいでメトロノームを鳴らしながら
②左手でビート、右手でリズムを刻む
1つのリズムにつき4回ずつ叩いていく(4分音符4拍分叩く)
と良いでしょう。
慣れてきたら、テンポを徐々に上げてやってみましょう。
下のリズム一覧表を見ながら、①から4回ずつリズムを叩いてみましょう!
うまく叩けなかったところは、そのリズムだけ抜き出して何度も繰り返して練習してみましょう。毎日5分だけでも良いので、これを続けてみてください。この地道な訓練が大事なのです。
コツ応用編:リズムとドレミを両方弾いてみよう
リズム打ちを練習しながら、さらなるステップアップを図りたい方は、「ドレミとリズムの両方をピアノで弾いてみる」ことをおすすめします。
例えば、叩いているリズムと同じリズムで、同じ音をひたすら弾いていきます。
4分音符のリズムを4つ分叩いているなら、同じリズムをピアノで「ド、ド、ド、ド」という風に弾いていくのです。同じ「ド」の音で上のリズム表を12番までやってみましょう。できたらその次の「レ」の音で12番まで弾いていき、次は「ミ」の音で…というように、脳のトレーニングのような感覚でやってみてください。
耳コピのコツ④:拍子感を養おう
次に、拍子感を養いましょう。これはたくさんの楽曲を聴きながら、身体でどういうビートなのかを感じていくことが大事になってきます。
そこで知っておきたいのが、拍子の種類になります。少し見ていきましょう!
コツ基本編その1:単純拍子
単純拍子とは、1拍を1つの音符あるいは2で割り切れる数の音符で分割した拍子のことです。
ちょっと難しい話になってしまいましたが、簡単に言うと、以下に示す「2拍子、3拍子、4拍子」など、拍子と言われてパッと思いつくようなオーソドックスな拍子のことです。
2拍子…「1、2 /1、2」と感じられる拍子です。マーチなどに多く使われています。
3拍子…「1、2、3 /1、2、3」と感じられる拍子です。こちらはワルツなど昔からある舞曲などに使われています。
4拍子…「1、2、3、4 /1、2、3、4」と感じられる拍子です。一般的な拍子として、多くの楽曲に使われています。
コツ基本編その2:複合拍子
上に示した単純拍子の他に、複合拍子と呼ばれる拍子もあります。これは、1拍を3つの音符に分割した拍子のことです。
どうしてこんな拍子があるの?とお思いの方もいるかと思いますので、少しお話しします。
そもそも、単純拍子では3連符を多用することがあまりありません。もし、「3連符を多く使いたい!」という時は、3つつながった8分音符の上か下にわざわざ連桁で「3」と書かなくてはなりません。かなりの労力を必要としますし、楽譜も見づらくなってしまうのです。
そこで、あらかじめ「1拍を3つの音符に分割します」と示しておけば、基本的なビート感を「音符3つ分で1拍になる」と頭に入れておくことができます。これが、複合拍子がある所以なのです。
一般的に複合拍子で使われているのが以下の3つになります。こちらは具体的な曲の例も併せて紹介しますね。
8分の6拍子…「1、2、3/2、2、3」あるいは
「1、と、と/2、と、と」と感じられる拍子です。
曲例: 童謡「思い出のアルバム」
椎名林檎「夢のあと」など
8分の9拍子…「1、2、3/2、2、3/3、2、3」あるいは
「1、と、と/2、と、と/3、と、と」と感じられる拍子です。
曲例: バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」など
8分の12拍子…「1、2、3、/2、2、3/3、2、3/4、2、3」あるいは
「1、と、と/2、と、と/3、と、と/4、と、と」と感じられる拍子です。
曲例: QUEEN「We Are The Champions」
GReeeeN「星影のエール」
映画《アナと雪の女王2》より「Into the Unknown」など
コツ豆知識:多くの曲は4分の4拍子が多い!
これまでさまざまな拍子を紹介してきましたが、実は、世の中に溢れている音楽の多くは、4分の4拍子が多いのです。
皆さんの好きな曲を思い浮かべてみてください。その曲を身体で感じ取ってみると、4拍子に聞こえませんか?
実は、4分の4拍子は曲作りがしやすい拍子なのです。拍子を身体で感じる(これを「拍子感」、ポップスの世界では「グルーヴ感・ビート感」などと表現することもあります)ときに、身体に1番しっくりくるのが4分の4拍子だからとも言われています。身体で感じやすいのは、4分の4拍子が強拍と弱拍のバランスが良い拍子であるためだ、とわたしは考えています。
普段無意識のうちに耳を傾けていた曲たちのほとんどが4分の4拍子でできていると知ると、ちょっと新鮮な感じがしませんか?
耳コピのコツ⑤:コードを知ろう
コツ基本編:コードの種類
コードとは、「和音」のことです。音を3つ以上綺麗に重ねてできる音の塊のことで、音楽の三要素の1つ(ハーモニー)です。
コードには、大きく分けて2種類があります。
3和音(トライアド)
文字通り、3つの音を積み重ねてできるコードのことで、一般的によく知られる「ドミソ」の和音もこの1つになります。
以下に一覧を弾いたときの響きの印象と併せて載せておくので、実際に音を鳴らして響きの違いを確かめてくださいね。
メジャートライアド(長3和音)
楽曲中でよく使われるコードです。一般的に「ドミソ」のコードと言われるのがこのメジャートライアドで、鳴らすと明るく気持ちの良い響きが特徴です。
マイナートライアド(短3和音)
メジャートライアドと比べて「ドミソ」の「ミ」の音が半音下がっているコードです。鳴らすと、暗く悲しい感じの響きが特徴です。
オーギュメントトライアド(増3和音)
鳴らすと不思議な響きのするコードです。イメージで言うならば「?」マークが飛び交いそうなコードですね。「ドミソ」の「ソ」の音が半音上がっているのが特徴です。
ディミニッシュトライアド(減3和音)
そして、4種類のコードの中でも1番不安定で影のあるような響きを持つのが、ディミニッシュコードです。「ドミソ」の「ミ」と「ソ」が半音下がっているので、4種類のコードのうち最も音の幅(音程)が狭いコードと言えます。
まずはこの4種類のコードの響きの違いを感じながら、キーボードで鳴らして覚えていきましょう。
4和音(セブンス)
こちらは、3和音にさらにもう1つ音を積み重ねてできたコードのことで、通称「セブンス」と呼ばれるものです。3和音に比べてできる種類が多いのですが、ここでは通常の楽曲でとてもよく使う「ドミナントセブンス」と呼ばれるセブンスコードの響きをおさえておきましょう。
コツ応用編:基本的なコード進行(C メジャーの場合)を知っておこう
次に知っておきたいのが、これらのコードを使った基本的なコード進行です。ここではわかりやすくCメジャーの場合で書いています。こちらも、キーボードを使って実際に弾いて身につけてみましょう。
①C→G7→C
いわゆる「お辞儀のコード進行」です。この表で「G7」と書いてあるところが、先述した「ドミナントセブンス」のコードなのですが、簡単に言うと、「緊張感があるコード」になります。もし、お辞儀のコードを「C→G」で止めてしまったら、どうでしょう?なんだか消化不良な感じがしませんか?
直後に「C」を入れてあげることで、やれやれめでたし…!と、ホッとするでしょう。
このことから、ドミナントセブンスの特徴は、その直後にとても安定した響き(上の表の中で1番安定しているのがCになります)に行きたがる性質を持っています。このポイントをおさえておきましょう!
②C→F→C
今度はFが間に入った時を見てみましょう。これは先ほどと少し違い、広がりを持った響きがしませんか?実はこちら、教会の讃美歌を歌い終わる後などに「アーメン」というときのコード進行と同じなのです。「アーメン終止」とも呼ばれているんですよ。
ちなみに、この時のFのコードは「サブドミナント」と呼ばれています。詳しく知りたい方は下の別記事を参照くださいね。
③C→F→G7→C
上の①と②を組み合わせたコード進行です。こうすると、「お辞儀の前に1つ準備がある」ような感じがすると思います。よりスムーズなコード進行になります。イメージでいうと、一息ついてからお辞儀する…といった感じでしょうか。
④C→F→Dm7→G7→C
最後に紹介するこちらのコード進行は、今まで触れてこなかった「Dm7」というコードが入っています。実は、「F」と同じ「サブドミナント」と呼ばれる性質を持ったコードで、よく使うため紹介しています。
ここで1つおさえておきたいポイントなのですが、「F→G7→C」という進行よりも、「Dm7→G7→C」という進行の方が、より「C」に行きたがる性質が強くなるんです。少し難しい話なのですが、ポップスではよく見かけるコード進行なので、覚えておきましょう(この「Dm7→G→C」のような進行のことを「トゥー・ファイブ」とも呼びます)。
さて…だんだん難しくなってきたかもしれませんが、どうでしょうか?
もちろん、今紹介した4つのコード進行は、ごくごく基本的なものです。この他にも探せばたくさんありますし、一般的な進行から逸脱して作られた曲がヒットした例も少なくありません。大切なのは、より多くのコード進行を実際に弾きながら、親しんでいくことです。そうすると耳コピをする時にコード進行の先読みがある程度できるようになります。お気に入りの曲のコード進行を、楽譜を見ながら分析して身につけるのも1つの手ですよ。
耳コピのコツ⑥:実際の曲を使って耳コピしてみよう!
コツ基本編:耳コピをするおすすめの順番
それでは、実際の楽曲を使って耳コピをしてみましょう!
まず、耳コピをする順番を決めていきます。色々なやり方があるのですが、わたしは以下の順番をおすすめしています。
- リズム
- メロディー
- ベースライン
- 間を埋めているコード(和音)
そして、耳コピをする時は、最初からフルコーラス分の長さを耳コピしようと思ってはいけません。初めは曲を少しずつ分けていき、耳コピしていきましょう。
例えば、「イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ・Cメロ・サビ・アウトロ」と大まかに分けます。その中でも「イントロの前半部分」「イントロの後半部分」とさらに細分化した上で、上記の順番で耳コピしていきましょう。
この順番で耳コピすることのメリットは、なんといっても「効率が良い」ことです。
わたしがよく使用している楽譜作成ソフト「finale」に、自分で弾いた音をそのまま楽譜にしてくれる便利な機能があるのですが、実は、その機能を使うと、楽譜作成画面に最初に一瞬だけ現れるのが「リズムのスケッチ」なんです。その次に音程を自動で聴き取ってくれて「メロディー」が、さらに音の重なりを自動で感知して「コード」が書き込まれていくのです。なので、まず「リズム」次に「メロディー」…という順番になるのです。
慣れてきたら、その曲のフルコーラスを空で口ずさむぐらい覚えてから、耳コピしてみると良いでしょう。
コツ実践編その1:Cメジャーの曲で耳コピしてみよう!
前置きが長くなりましたが、まずはCメジャーの曲を耳コピしていきましょう。曲例を載せておきますので、やってみてくださいね。
楽曲例① :GReeeeN《キセキ》
①リズムを感じ取りましょう。(拍子感も含む)
②メロディーを聴き取りましょう。難しいところは動画を止めて何度も聴きましょう。
③ベースラインも聴き取ってみましょう。1番低い音は聴き取りづらいかと思いますが、頑張って聴き取ってみましょう!
④最後に、コードです。最初はコードが書いてある楽譜見ながらでも良いと思います。コード進行がどうなっているかも見ながら聴き取ってみましょう。
楽曲例② :GReeeeN「星影のエール」(8分の12拍子)
同じくGReeeeNの楽曲です。この曲は、現在放送されているNHK連続テレビ小説「エール」の主題歌なのですが、先述した複合拍子のひとつ、8分の12拍子の曲になっています。珍しいですね!
この動画はTVで実際に流れるサイズになっていますので、通常の楽曲よりも短めです。でも、歌詞とコード進行が書き込まれていますので、コードの聴き取りに初めて挑戦するのには良いかと思います。上記に示したのと同じ要領で、耳コピしていきましょう。
いかがでしょうか?
Cメジャーの曲の耳コピに慣れてきたら、他のキーでも耳コピに挑戦してみましょう。
コツ実践編その2:Cメジャー以外のキーでも挑戦しよう
他のキーで耳コピする時に気をつけてほしいこと
ただし、気をつけてほしいことがあります。調号がより少ないキーから挑戦してみてください。例えば、「Eメジャー(♯が4つつくキー)」、「A♭メジャー(♭が4つつくキー)」の曲よりも、「Gメジャー(♯が1つつくキー)」や、「Fメジャー(♭が1つつくキー)」の曲から挑戦することをおすすめします。
これは、先述の通り、派生音(♯や♭)の音の響きを聴き分けるのには、少し時間がかかると思うからです。調号が多いほど曲の耳コピの難易度が上がると言っても過言ではないでしょう。
そこで、以下に耳コピしやすそうな曲例を記載しますので、もし興味ある方はこれらの曲を耳コピしてみてください。
Gメジャーの楽曲例①:AKB48「365日の紙飛行機」
こちらは耳馴染みの良いメロディーで、老若男女に親しまれている曲です。AKBの曲はどれもノリノリの曲が多いのですが、こちらは割と爽やかさがあふれる曲ですよね!
Gメジャーの楽曲例②:Superfly「愛を込めて花束を」(終盤Aメジャーに転調あり)
結婚式でも歌われることが多いこの曲、越智さんのとてもパワフルな歌声が印象的ですよね。こちらの曲は最後のサビでAメジャーに転調しています。耳コピのスキルをさらに上げたい方におすすめの一曲です。
Fメジャーの楽曲例①:菅野よう子「花は咲く」
2011年に起きた東日本大震災の復興支援ソングとして作られたのは言うまでもありません。サビ部分の「♪花〜は花は花は咲く〜」がこれでもかというほど繰り返されるので、耳コピしやすいですよ。
Fメジャーの楽曲例②:井上あずみ「となりのトトロ」(終盤のサビの転調あり)
おなじみ、ジブリ映画《となりのトトロ》のエンディングソングとして知られている曲ですが、こちらも最後のサビで転調しています。半音上がる転調(F♯メジャーもしくはG♭メジャーになる)なので、ちょっと難しいかと思いますが、是非トライしてみてくださいね。
いかがでしたか?この他にもおすすめの楽曲例を別記事で紹介予定です。是非ご覧くださいね。
最後に
さて、ここまで耳コピへの道を辿ってきましたが、いかがでしたか?
最初は難しいと思っても、段取りとコツさえ掴めば、だんだんとできるようになっていくのです。
色々書きましたが、まずはたくさんの曲に触れて、毎日ちょっとの時間でも良いので少しずつ練習してみてくださいね。そうすればきっと、耳コピへの道は開けてくるはずです。
拙筆ではありますが、この記事が少しでも皆さんのお役に立てますようにと願いを込めて。
最後まで読んでくださりありがとうございました!